<子ども手当>年収960万円超の世帯にも月5000円

政府は、現在の子ども手当に代わる12年度以降の、
新たな子ども手当に絡んで、
所得制限の対象となる世帯(年収960万円超)にも、
子ども1人当たり月5000円を給付する案を決めた。
所得税・住民税の年少扶養控除廃止に伴って、
大幅増税となる所得の高い世帯の負担を軽減する。
果たしてこのことに意味があるのだろうか。
高所得者を優遇するなら低所得者の税負担をもっと少なくするべき。
高所得者層に月額5000円を給付しても景気刺激にもならないし、
支持率が大幅にダウンした危機感からのただの人気取りとしか思えない。

本日の民主党政策調査会の部門会議に提示、12年度予算案に盛り込む方針。
年明けからは自民、公明の野党側と調整に入る考えのようだ。
実現したならば、新たな子ども手当の支給月額は事実上、
制限所得以下の世帯に対する1人1万〜1万5000円と、
制限対象世帯に対する同5000円の2本立てになる。
同じ給付を2本立てというのもどうかと思いますが。

民主、自民、公明3党は今年8月に、
15歳以下の子ども全員に1万3000円を給付していた、
従来の子ども手当の廃止を決定。
今年10月からは、3〜15歳の第1子〜第2子に1万円、
3歳未満児と第3子以降に1万5000円を支給する制度に変更した。
このへんの数字も一体どういう根拠で算出されているのかわからないのだが。

その一方で、財政難を背景に12年度から、
年収960万円超を基準に所得制限を導入することで合意した。
これに対しては、どうかと思う。
日本の財政は一部の高所得者層で支えられているのだから、
そこに制限を加えれば一層の節税対策がなされるだろう。

子ども手当導入に伴い、今年1月に年少扶養控除が廃止、
年収960万円超の世帯への給付額を単純にゼロにすれば、
増税負担が大き過ぎると指摘されていた。
この点においては手当導入のかわりに扶養控除廃止というプラスマイナス0、
のようなことをしているから、歪みが出たのであり完全に政策ミス。

民主党は当初、所得制限世帯に月9000円を支給する案を示していた。
しかし同案では高所得世帯よりも中所得世帯の方が、
負担増になるケースがあることが判明。
負担の逆転現象を避けられる月5000円案に落ち着いた。
何も考えずに「9000円でいいか?」みたいな決め方したのでは?

新たな手当では、所得制限対象の年収1000万円世帯の場合、
児童手当が支給されていた自公政権時に比べて、
月約4000円の手取り減となる。
1000万世帯が4000円減になってもなんとも思わないと思いますけど。