<倉敷トンネル5人不明>水、突然噴き上げ…響く叫び声

「危ない」「逃げろ」との悲痛な叫び声が響き、
下から噴き上げる海水に押し流された。
岡山県倉敷市のJX日鉱日石エネルギー水島製油所で7日に起こった事故。
建設中の海底トンネルで起きたもので、
助かった作業員は恐怖の瞬間を語った。
関係者は行方不明の5人を心配しつつ、
困難な救助方法について検討を重ねている模様である。

◇現場

自力で脱出した下請け会社「弘新建設」の建設作業員、
角井健次さん(61)は、
「トンネル奥から『逃げろ』という声を聞いた後、海水が押し寄せた」と、
事故発生時の衝撃を話した。

角井さんは資材などを運ぶバッテリーカーの運転手として、
立て坑のらせん階段にいた。
階段を駆け上ると、海水に押し出されるような形で脱出したという。
「私のすぐ下にもう1人いたはずだ」と角井さんは話している。
角井さんの意識ははっきりしているものの目と耳に痛みを訴え、
倉敷市内の病院に搬送された。

海底トンネルの立て坑の周囲には濁った海水が流れ出しており、
事故のすさまじさを物語っている。

第6管区海上保安本部(広島市)は7日、測量船「くるしま」を、
海底トンネル事故現場付近の海底調査のため出動させたということだ。
現場到着の午後9時すぎには、
早速、船底に備えた音響測深器で現場周辺の海底面の調査を始めたという。

鹿島水島海底シールド工事事務所の話では、
行方不明となっている渕原義信さん(61)は現場責任者で、
小荒勝仁さん(47)は掘削機のオペレーター、
宮本光輝さん(39)と真鳥晴次さん(43)は、
鉄筋コンクリート製の壁の設置、南坪昭弘さん(57)は、
トンネル内の土や資材を運ぶバッテリーカー運転手を担当していた。