「トイレ流せない」厳寒仮設、凍結・断水に悲鳴

厳しい冷え込みが続く東日本大震災の被災地では、
仮設住宅の貯水槽設備のポンプが動かなくなったり、
水道管が凍結したりするケースが相次いでいるとのこと。

岩手県沿岸部では、とうとう給水車が出動する事態も起きた。
凍結防止策が不十分であり、平年以上の寒気に耐えることができなかった。

岩手県山田町の中山間地に設置されている織笠第7仮設団地では、
1月26日未明、突然27世帯が断水。
住民が町役場に連絡して、業者が調べたところ、
寒さで貯水槽のポンプが動かなくなったのが原因と判明したという。
「復旧がいつになるか分からず、夕飯は親類の家まで行って食べた」と、
入居者の主婦は話す。漁業の男性は、
「トイレの水が流せないので、車で近くの川まで行き、
バケツ2杯の水をくんできた」と話している。
なお、復旧までには半日かかったとのことである。

読売新聞の取材によると、今月6日までに、
釜石市陸前高田市、山田町、田野畑村岩手県4市町村の仮設住宅で、
貯水槽設備の凍結などが原因で断水、計5回の給水車が出動があった。
津波浸水区域を避けて高台に建てられたのであるが、
山林などに遮られてあまり日が当たらないことから、
冷たい風が吹き付けるような場所が多くなっている。
県は、貯水槽に凍結防止ヒーターを設置する措置をとった。

貯水槽の凍結などによる断水は、宮城や福島の仮設住宅でも起きている。
宮城県石巻市気仙沼市南三陸町でも給水車が出動し、
福島県二本松市本宮市にある同県浪江町仮設住宅においては、
町がペットボトルの水を配るなど対応した。
福島県から仮設住宅の修繕を委託されているNPO法人に、1月末までに、
水道管の凍結に関する相談が460件寄せられている。

1月13日と30日に相次いで断水した、
岩手県釜石市の栗林第4仮設住宅では、貯水槽に水を送る水道管が凍結。
直径15センチの本管で、地表に敷設されていたという。
給水車が出動、市職員がポリ袋に10リットルの水を入れて配布した。
入居する男性は「『また凍結するのでは』と心配で、
風呂に水をいつもためている」とため息まじりに話した。

入居者が水抜きをしても、配水管に水が残り、凍結する事例も。
県建築住宅課は、
「例年にない寒さで、想定していなかった不具合が起きている。
今後も一つひとつ対応していくしかない」とコメントしている。

釜石市では1月、計4日の真冬日と、氷点下9・8度の最低気温を記録。
また、今月9日の最低気温は同5・0度で、
厳しい寒さが被害拡大に追い打ちをかけていると言えそうだ。