<首都直下地震>震度7を予想…「6強」見直し 文科省

東京首都直下地震の対策を検討している文部科学省の研究チームが、
東京湾北部においてマグニチュード7級の地震の発生で、東京湾岸の広範囲で、
従来想定されていた震度6強より大きい震度7の揺れが予想される、
との研究成果を公表した。
その根拠として震源のプレート境界が、
従来想定していたものより約10キロ浅いことが明らかになったためだ。
震度6強の地域も広ったため、
国の中央防災会議は最悪のケースを想定し死者1万1000人、
経済被害112兆円とされた従来の被害想定を見直す方針を固めた。

研究チームは07年度から首都圏296カ所に地震計を新設し、
観測した地震波などのデータの解析を行なってきた。
その結果、フィリピン海プレートが、
首都圏を乗せた陸のプレートに沈み込む傾きが想定よりも小さく、
地震を起こすひずみをためやすいプレート境界面も、
従来想定していた深さ30〜40キロより5〜10キロ浅いことを確認した。

中央防災会議は、東京湾北部で起きる地震震源域を、
東京都区部から千葉市周辺までの東西約63キロ、南北31キロ、
規模は阪神大震災と同じM7.3と想定している。
このことからも首都直下型地震はかなり規模の大きなものだ。
チームはこの想定に、今回の研究成果を加えて計算したのであるが、
震度7になる自治体名は「誤差が大きい」として公表を控えている。

チームの酒井慎一・東京大准教授は、
「プレート境界型の地震は規模が大きくなりやすいため、
東京湾北部で今回想定していないM8の地震が起きる可能性も十分考えられる」
と指摘している。
その場合においては、震度6〜7の強い揺れに見舞われる範囲は、
今までの想定よりも大幅に広がるのは確実である。

チームは詳細な震度分布を盛り込んだ最終報告を月内に公表する予定。
報告をもとに、中央防災会議は新年度、被害想定や対策の見直しに着手する。